過食は身体の欲求ではありません。奥に隠された原因と理由があります。

過食の原因と仕組み。止まらないむちゃ食いを止めるために。

長年苦しんできた出来事への想いが、ほんの少しのきっかけで変わることがあります。
最近滞在していたある人が数年前の出来事への恐怖から非常に苦しんでいました。
もちろんその時に心につきささったままの恐れは過食の原因ともなり、さらに現在の彼女を苦しめ続けています。
無意識下に抑圧された「恐れ」という感情から目を背けるためにひどい食べすぎを繰り返す…
その食べすぎを理由にして社会から遠ざかり家に引きこもってしまう…
負のループであり果ての無い悪循環です。

そんな彼女が滞在初めて4日ほどたったころ、私との会話の中でそのきっかけは始まりました。
彼女の辛かった体験、それは数年前にあることがきっかけとなって10ヶ月もの間終わりの無い恐怖心に囚われてパニックとなり、病院に隔離されたまま絶望を味わい続けた経験でした。
最初は思い出したり口に出すことさえ拒否し続けていた彼女でしたが、私が彼女の無意識下にあるパターン化された思考と反応に合わせて転換点を見出したところで変化は起こりました。

「今も恐いと思ってる?」あえて聞く私に対して、
「恐い!」
「もう一度聞くよ。今も恐いと思ってる?」
「恐い!恐い!」
「今の自分もそのことを恐いと思ってる?
「……」
さらに何度も問いかけました。
「今も恐いと思ってる?」
「…恐くない」
「そうだよね。今は本当は恐くないよね」
「そう、もう今の私は恐くない!」


彼女が今の本当の自分の気持ちに始めて気づいた瞬間でした。

人は過去に恐ろしい体験をすると、今もその感情が抑圧されたままになっている場合があります。
しかし、その古い感情が残っているからといって今現在の自分はそのときの自分とは違うのです。
さまざまな経験や学びの中で過去よりも成長した自分自身が存在しているのです。
彼女の場合は、あまりに過去の体験を恐がり続けたことで冷静に今の自分のフラットな感情さえ見えなくなっていただけなのです。

そのことを自分が認識することが重要でした。
誰かに言ってもらっても、本人が自覚できなければ何の意味も力もありません。
自分自身が気づく必要があるのです。

そしてその気づきが自分を無意識下で動かしているフレームを書き換えるための転換点として働き始めます。
その後の彼女は別人のように明るい表情を取り戻していきました。
そして新しい希望が彼女の中に生まれ始めました。
過去の恐怖から自由になったからです。

長年続いた過食やいろんな苦しみも、ちょっとしたきっかけから変わり始めることが可能です。
その変化をループさせてゆくことでいずれは大きな変化に育てることが可能です。

行動パターンの書き換えは表面的に現れた行為だけをいうのではありません。
自分の内部でのちょっとした気づきが無意識下のフレーム(無意識下のパターン化された思考と感情のフローチャート)を書き換えてゆく場合もあります。

自分を変えてゆくアプローチはひとつだけではありません。
それは多面的に可能でありいろんな側面から可能です。
そしてそれらがきっかけとなっていずれは全体を動かしてゆきます。

どんなに苦しんだ過食嘔吐や慢性的食べすぎも同じです。
その一歩から変化は起こり始めます。

過食で苦しむ自分にはまり込まないでください。
食べすぎてしまったからといって一日中寝てしまったり引きこもったりしないでください。
食べすぎてしまったその後のその行為行動が新たなループを作り出します。
そこにはまり込んでしまわないでください。

最初の一歩はちょっとした変化です。
けれどその一歩こそがとてもとても大切です。
いつか元気に食事を楽しみ自分がいます。